フォームを作ってもいきなりヒザ擦りはできません。安全にヒザ擦りに持ち込むためにはもうひとつの要素が必要なのです。それは「荷重」です。
バイクはライダーが乗って走らせた状態で動的にバランスするように設計されています。特に高性能マシンはそのレベルも高く、十分負荷がかかった状態ではじめてサスペンションも沈み込み、タイヤも潰れて本来のグリップ性能を発揮します。そのためには、ライダーが積極的にバイクに働きかけて荷重を与えていく必要があります。そこで重要になるのがステップワークです。
ステップへの入力やシートへの体重の預け方によって、生き生きとしたバイクの動きを作り出すことができるようになります。逆にライダーが硬直したような“地蔵乗り”では、バイク本来の運動性能を発揮することはできません。ダイナミックかつスムーズな動きがポイントです。
ステップワークのトレーニング法はいろいろありますが、大事なのは入力のタイミングです。力まかせにステップを踏み込むだけではバイクは動いてくれません。体重移動とセットで行うことではじめて効果を発揮します。たとえば右に車体を傾けたい場合は、腰を右にずらしながら右のステップを踏み込みます。さらに外足でタンクを押し込むような入力を加えることで、重量級マシンでも驚くほど軽快に倒し込むことができるようになります。しっかり荷重がかかった状態が作れれば、それほど車体を傾けなくてもヒザは路面に当たることでしょう。
→ Lesson.4 「ミニモトでヒザ擦りの感覚を覚えよう」
→ Lesson.5 「自分のバイクでヒザ擦りを達成しよう」
→ Lesson.6 「自宅や会社でできる簡単トレーニング法」
